円形脱毛症

円形脱毛症は、いわゆる「十円ハゲ」と呼ばれる病気です。
きっかけについては、ストレスが原因と言われていますが、実際には風邪をひいた後や、特に原因が見当たらない人、親子で発症する人なども多く、一概にストレスが原因とは言い切れません。
これらの何らかのきっかけで、自分の毛根を免疫細胞が敵と認識してしまい、毛根を攻撃することで毛が弱って抜けていきます。いわゆる「自己免疫」が生じている状態です。
症状としては、この十円ハゲが1個だけ頭にできる患者さんが多いですが、病気が強いと頭全体や顔の毛が抜ける方、全身の毛がなくなってしまう方もいます。
また、他の自己免疫による病気、全身性エリテマトーデス(SLE)などの膠原病、バセドウ病や橋本病などの甲状腺疾患、皮膚が白くなる白斑などが、元々ある患者さんに起こりやすいと言われています。
さらに、アトピー性皮膚炎に合併すると治療が効きにくい、あるいは円形脱毛症が再発しやすいとされています。

治療

病気の原因である自己免疫を抑制するため、免疫抑制剤であるステロイド剤を使用します。
ステロイドの種類としては、外用剤、注射(皮膚に直接)、内服、点滴があります。当院では副作用の少ない外用剤による治療を主に行っております。また、直接皮膚をかぶれさせて発毛を促す局所免疫療法(SADBE)、免疫細胞を正常化させる紫外線照射(ナローバンドUVB)を行うこともあります。
急速に毛が抜けている患者さんにはステロイド点滴による治療をお勧めしていますが、この治療は入院が必要となりますので、大学病院など入院設備のある病院に紹介させていただきます。

日常生活での注意点

円形脱毛症があること自体で体の具合が悪くなることはほとんどありません。自身に負担のない生活を心がけるようにしてください。飲酒は問題ありませんが、喫煙は頭皮の血流を悪くしてしまうため禁煙をお勧めします。
入浴については毎日普段通りに洗浄してください。洗浄が足りないと皮膚からの薬の吸収ができず、治療の効果が弱くなる可能性があります。
毛が抜けている間は毛染めを控えてください。刺激により発毛する方もいますが、脱毛する方もいます。
カツラ、ウィッグ、帽子などの着用は問題ありません。

さいごに

円形脱毛症は、治療開始数か月後に初めて治療が効いたかどうかが判定できる病気です。
そのため、完治に最短でも1年程度の治療が必要な方が多いです。通院が長期間に渡ることが多いため、生活習慣に合わせた無理のない治療方法を選択することが重要です。治療の方法、副作用、通院頻度など相談しながら治療を行っていきましょう。